【ナカノヒトゲノム】審神者はゲーム実況者でした【実況中】
第4章 GAME02
「こちらに、ワタクシが夜なべして作ったクジがございます。パカさんマークを引き当てた方が……」
「ふざけんな!!誰がやるかそんな」
人の言葉を遮るのは良くないですよ、駆堂さん。
「おや、リタイアをご所望で?」
パカさんがそう言うと、スクリーンが降りてきた。
「その場合失格とみなし、こちらゲノムタワー最下層にあります、“白の部屋”へ強制収監いたします」
そう言うパカさんの雰囲気は………、少し怖かった。
あの時もそうだった。
第1ステージ終了後の、『どうか死ぬ気で実況してくださいませ』の言葉。
どこか現実味を浴びさせる声だった。
今回の、そんな感じだ。
「ほかの皆様が一億ビュー達成するまでずっと一人、4畳半の密室で延々待機となりますが」
スクリーンの映像には、一人でうずくまっている子がいた。
多分、過去の映像だろう。
「こちらは過去、貴方がたと同じようにダダをこねたお方です」
やっぱりね。
「実況を放棄した彼は、ずっとこの部屋で仲間のクリアを待っておりました。すでに彼らが、達成に失敗したことも知らず、来るはずもない迎えをずっと、ずっと」
!!!
「ずぅーーっと……」
映像に出てきたのは………、ただの“白骨”。
これが………、“ナカノヒトゲノムリアル実況”の恐ろしさを物語っている。
入出君は目を見開き、カリンちゃんは頭を抱えている。
他の皆も、反応はそれぞれだったが、これはあまりにも残酷すぎる……。
ダトン
「おう、ちょっとさすがに、悪趣味じゃねェかい」
鬼ヶ崎さんんが番傘でパカさんの耳を抑え、駆堂さんが馬乗りで首を絞め、忍霧さんはナイフを首に当てている。
「作り物の可能性は?」
「気色わりーもん見せやがって。この人殺し野郎」
『まっt((「お望みならばご案内しますよ」
私の言葉を遮って発したパカさんの声は、ひとつトーンが下がっていた。
「ご遺体は運び出しましたが、部屋のリフォームは済んでおりません。まだ十分、“痕跡”が残っておりましょう」
うっ………。
想像しただけで吐き気がする………。