第5章 凶か吉か
ガチャ
「遅いよ京治、園子」
赤葦が扉を開けると壁にもたれ掛かっている少女が二人に近づいた
「薫..?」
「うん。久し振り」
少し笑みを浮かべ、薫と呼ばれた少女は後ろを向いた
「留衣..!瑠菜まで!」
ソファーに並ぶように座る二人の少女。二人とも顔立ちは同じ。そっくりだった
「じゃあ園子、座って。薫も」
結果園子、薫
反対側に留衣、瑠菜、赤葦が座ることとなった
「まず整理するけど..」
薫がファイルを捲っていると留衣が薫の顔を覗き込んだ
「どうした?」
「あーいや。薫が仕切ってるの珍しいから」
物珍しそうに薫を見ていた留衣
「僕が仕切っちゃいけないわけ?」
「違う!そういう意味じゃ..」
無言でファイルをパタンと閉じ園子の膝に置くと薫は留衣に目もくれずに部屋を出ていった
「怒ったな」
「どうする?園子」
赤葦が尋ねた
園子はファイルを見つめながら考えていた
───薫ってあんな奴だったっけ
ふとそんな疑問が浮かんでは消えた
「京治」
「?」
「薫を探してくる。ここに居て」
そうとだけ告げ園子は部屋をあとにした