第7章 傷は痛む
Noside
「ちょっと待ってください」
セイジョウの構成員である溝口貞幸は先ほど命じられた内容を上手く噛み砕けずにいた
「つまりこういう事ですか?誘拐された二人を花村園子に捜させる。と」
溝口は構成員の中でもかなりの若人だった
幼少期にセイジョウと敵対していたマフィアにいたのだが首領に助けられ、移ることとなった
同じような境遇だった園子に近親感を持っており基本園子の面倒を見ているのである
「..簡単に言えばそういう事だね」
「無茶です!」
ガタンと音がし、机上の珈琲がグラりと揺れる
「今の園子には十分な休息が必要です!それなのにそれを強要することは.....」
そこで言葉を止める
固唾を飲み、息を止め、そろりと視線を向かいの男にやった
「....非難せざるを得ません」
敢えて視線は外さない
溝口の眼に光は無かった。だが、覚悟の色はあった
護りたいという覚悟が
「勘違いして欲しくないがそれは彼女の意思だ」
「なっ...!」