第5章 凶か吉か
────早く行かないと
はあはあと息が切れそうなのにも関わらず園子は走り続けていた
ドンッ
「っ..」
不意に誰かとぶつかってしまい、比較的身長の低い園子は派手に飛んでしまった
「大丈夫っすか!?」
「馬鹿!大丈夫な分けねえだろ!たてるか?」
そこで園子はやっと相手が二人だということに気づいた
手を伸ばし引っ張ってもらうと埃をパンパンと落とした
「.....お前花村じゃねえか?」
ぶつかった方ではない、先ほど手を貸してくれた小柄な男が口を開いた
「..どうして」
「留衣達からきいいてたんだ。..そういやまだ名前言うの忘れてたな
俺はネコの夜久衞輔だ」
よろしく。と笑みを浮かべながら再び手を伸ばした夜久
「..こちらこそ」
夜久を睨み付けるように園子は再び手を伸ばした
よろしくなっ!ととても嬉しそうに夜久は笑う
握手が交わされた後、園子は手袋で遮られたはずの失った体温を感じ取っていた
「えっと..夜久さんの知り合いの人ですか?」
「あ?留衣が言ってたろ?」
「ああ!あの研磨さん達の幼馴染みって言う!」
先程園子がぶつかった長身の男がハッとする
研磨はちゃんと言ってるのか。そう思うと不意に溜息が一つ漏れた