第5章 凶か吉か
「二人ともそこに座って」
研磨が二人を見送ったあと、黒尾は及川と岩泉に座るよう促した
「じゃあ先に自己紹介から」
黒尾は全員が座ったのを確認し、立ち上がった
「俺は音駒の首領の黒尾鉄郎だ。でこっちが」
「孤爪研磨..」
「今ウチのNO.2の海が手が離せないからこいつに来てもらってる」
研磨を見てニヤリと笑った黒尾は目線で二人に合図した。まず立ち上がったのは及川だった
「..青葉城西首領。及川徹」
「俺は岩泉一だ」
警戒しながらも二人は自己紹介をした
「じゃあ早速本題に入る」
「あっ。その前に一つ」
資料を出そうとファイルを捲っていた黒尾の言葉を遮り、及川は人指し指を立てた
「なんだ?」
「なんで同盟を組むことを言ってきたの?」
「だからそれを今から言おうとしてるんだろ」
黒尾はファイルから一枚の紙を出し、机においた
「あくまでも同盟を組むのは一時的だ」
黒尾は笑みを消した
───鋭い目付きでこちらの気持ちが見透かされているよう───
「なら同盟を組む意味なんかないんじゃない?」
「..俺らはカラスとも同盟を組んでる。この意味が分かるか?」
黒尾は手を組み、及川の方へと身を乗り出した
「..お前憎んでんだろ?牛若の事」
牛若──その言葉に及川の肩がピクリと動く
「今は関係ないじゃん」
負けてはならないと鋭い目付きで睨み返す及川
「いーや。それが関係あるんだよなあ」
そう言うと黒尾は資料のある部分をトントンと叩いた