【イケメン戦国】*ヒメゴト* 戦国時代に舞い降りた現代の姫
第5章 懐疑心は忠誠心 短気は損気
小さな抗議も無駄だった。
おそらく着替えるだけにしては遅いし、何事か異常事態でもあったのかと思ったのだろう……。
襦袢が見えている状態で対面した由里と三成。
三成は、一瞬何が起きたのかわからないといった表情で由里をじっと見ていたが、その状態を察して、飛びのくのかという勢いで、元いた廊下に戻っていった。
ふすまをバタン!というけたたましい音を出して。
「も、も、も、申し訳ございません!! 由里様っ」
「う、うん。大丈夫です」
由里も少なからず動揺していた。
しかし三成のそれが由里以上だったので、自分の羞恥など忘れ、少し微笑ましいと思うほどだった。
「あの……自分で着替えられなくて……」
それよりも、自分で着替えられない、という事実のほうが今の由里にははるかに羞恥を煽るものだった。
「……では、女中に手伝いをさせますね。
少しお待ちください」
そう言い残し、三成は足早にその場を後にした。