• テキストサイズ

【イケメン戦国】*ヒメゴト* 戦国時代に舞い降りた現代の姫

第4章 夜駆ける


すると、政宗の腕の中の由里が、わずかに身じろぎして、眠っていたからか微かに鼻にかかってかすれた声を出した。
そして、長いまつ毛が揺れ、目が開かれたのである。

「……あれ……、寝ちゃってた……?」

まだ眠い、という感じで目をこすった由里は、当たり前のように政宗に身体を預けたままである。
果たして、ここが馬上で、今もまだ走らせている途中というのは気付いているのだろうか。


「由里の寝顔をもう少し見ていたかったが、残念だ」

「っ!!」

本気か冗談かは知らないが、こういうことを普通に言ってしまえる政宗に、由里は感心しつつも、動揺していた。

「いや……ね、馬が」

眠い目をこすり、由里は彼らの思いもよらない言葉を発したのだ。

「馬? 速すぎて酔ったか?」

「ううん。もっと速いのに慣れてるから」

「は?」

「あとで話す……ごめん、いつも夜は6時くらいまでしっかり寝てるから……ねむ……」

「お、おい。由里!? もっと速いってどういう……
 ………………寝てる」

言い終わる前に、由里はまた重い瞼を閉じてしまったのだ。
そして由里の先の言葉に、再び政宗の心に炎を宿らせた。

「今の……もっと速い馬がいるってことか?
 面白いじゃねえか。聞き出して勝負だ」

「…………」

秀吉はというと、さらに疑念を強めたのか無言であった。







「着いたぞー起きろー」

さらに数刻馬で駆け抜けたところに、ようやく目的地が見えてきたのだった。

「うーん……う!?」

目をぱちくりさせ、驚いた由里。
そのすぐ目の前にあったのは、政宗の顔だった。
/ 32ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp