【イケメン戦国】*ヒメゴト* 戦国時代に舞い降りた現代の姫
第3章 どうやら夢じゃないらしい。
(やばっ……)
自分の傷を見ていて周囲を見ていなかった由里は、不安定な地面を踏み外してしまった。
そしてその先は……道がない。
つまり、崖……否、暗くて崖なのか丘かすらも、わからない。
ズザザザザッ
(またかーーー!!!!)
由里は自分の未熟さに飽きれながらも、懸命に手で土をえぐり、足で泥を蹴り上げて速度を落とそうとする。
止まれ止まれ!!そう叫びながら。
「今日、落ちるの2回目ー!!」
「イノシシーーー!!??」
ゴンッ
叫び声がかぶるのと、何かと由里の頭がぶつかるのは、ほぼ同時だった。
一瞬、静寂に包まれる。
由里は、何が起きたかわからなかった。
(えっと……崖?から落ちて、なんかにぶつかって……)
「とりあえず、生きてる」
「おい」
呼ばれてビクリとして、振り向く。
そこには、たいまつを持った青年が、痛そうに頭をなでながら立っていた。
そこで初めて先ほどぶつかったらしき物が、【人】であったことに気づいた。
その他に、3人の人影があり、いずれも大の男であることがわかる。
「上から落ちてきたと思えば、お前……イノシシかと思ったぜ」
「すっすみません」
「だいたい、なんで上から落ちてくるんだよ」
「よそ見しててっ」
「こんな夜にか!? だいたいなんでこんな夜中にうろついてる」
「いいい、家に帰ろうとしててですね……ていうか、イノシイノシシうるさいですよ!」
「なんだよその言い方!イノシシ女」
たいまつを持った男性から質問攻めにあい、さらには言い争いになる由里とたいまつさん(もうこう呼ぼう)。
たいまつさんはくそっと言って目を反らして鼻をかく。
「これはこれは可愛そうに、こんなに擦り剥いて…きれいな肌が台無しだ、美人なお嬢さん」