第1章 【 君への贈り物 】
(やだっ!離してっ!)
手を振りほどこうと暴れると
「落ち着け、俺だ」
聞き覚えのある声がした
えっこの声…
塞がれていた口がやっと解放されたと同時に後ろを振り返ると
そこには「相変わらず威勢だけはいいな」と言いながら呆れ顔をする政宗とその光景をにやにやしながら見ている光秀さんがいた。
犯人が誰かわかった途端
安堵したように私はへなへなとその場に崩れ落ちた。
(怖かった…)
涙を滲ませながら、2人を睨みつけるように見つめ
「政宗と光秀さんがどうしてここに…?」
気の抜けた声で問い詰める。
そんな私の姿を面白がったのだろう。
政宗と光秀さんが互いに目を合わせた後、
不敵な笑みを浮かべ
「たまたま俺たちも息抜きにここへ来てただけだ。…なあ、光秀?」
「ああ、他の者や…無論、家康にも内緒でな。」
にやにやしながら私の目を見て、さぞ当たり前のように告げる2人。
そんなにやにやしながら言われても全然説得力ないよ
特に光秀さんは意味深に言いすぎだし…
私は怪訝な顔で2人を見据えた。