第2章 おめでとうをあなたに…
しんっと静まり返っていた
空気が一気に変わる。
クククッと肩を震わせながら笑いを堪える信長様に
私の目の前で、頭を抱えている秀吉さん
その横で盛大に噴き出して笑う政宗
呆れ顔でため息をつく家康
ぽかんとしながら、…あまり理解していない様子の三成くん
そして怒りに似た感情が込み上げるのを
プルプルと肩を震わせながら必死に堪える私。
や、やられた…
全て話した私は、秀吉さんから事実を知らされたのだった。
「杏、後で俺が叱っとく。…そう怖い顔をするな」
優しい手つきで秀吉さんになだめられる。
ううっ…そう言われても…
さすがに、これはひどすぎるよ
はあとため息を零すと、『それにしても』と言って三成くんが口を開く。
「光秀様は、捨て子という過去をお持ちだったのですね…」
「三成、やめろ…っ笑いが止まらねえだろっ…」
三成くんの言葉で、止まりかけていた政宗の笑いが再び起こる。
その光景を横目に、
「はあ…ほんとバカじゃないの?…あと三成、お前はもう黙っていなよ。ややこしくなる」
家康が手厳しく言い放つ。
ああ、もう本当に穴があったら入りたいよ…
それにしても、このやり場のない気持ちをどこにぶつければいいのか…
途方に暮れた私は、ひたすら溜息を零すことしかできなかった。
すると
「貴様ら鎮まれ。…杏、いいことを思いついたぞ。」
声の主はニヤリと企み顔をする信長様だった。
「いいこと…ですか?」
「ああ。…これより会議を再開する。」
信長様のこの言葉で、極秘会議という名の
光秀さんのサプライズお祝い作戦が開始された。
――――…
「いいな、貴様ら。心してかかれ」
「「「「はっ」」」」
「はいっ」
皆して、いたずらをしようとする子どものような顔をしながら、元気よく返事をした後
各々準備に取り掛かったのだった。