第1章 【 君への贈り物 】
翌日、私と家康は京都を訪れていた。
猛暑は過ぎていたが
やはり、安土より京都は暑い。
始めは『暑い』とか文句を言っていた家康だけど、何だかんだ言って
人々で賑わう町中を2人で回ったり、
時々川に足をつけて遊んだり、
一緒にかき氷を食べたりして
最後まで一緒に京都を満喫してくれた。
ふと空を見上げるといつの間にか日が傾き、
涼しい風が吹き始めている。
茜空に吸い込まれるように
ぼ~っと空を見つめていると
家康が口を開いた。
「そろそろ、宿に向かうよ」
(さすがに今日は疲れちゃったよね)
ゆっくりと家康の方を見て微笑む。
「うん、じゃあ地図出すね」
私は三成くんに描いてもらった宿までの地図を出そうと手持ちの巾着の中を探す
が
「あれ…ここに入れていたはずなのに…」
入れていたはずの地図がない。
もしかして、入れ忘れた?!
いや、そんなはずない
ちゃんと入れたの覚えているし…
でもどれだけ探しても地図は見つからなかった。
私は恐る恐る家康の顔を見ると
家康は目を見開いた後、顔を歪めた。
「まさか…」
(うう、ごめんなさい)
「地図、落としちゃったみたい…」
(三成くんが今日のためにせかっく描いてくれたものなのに…)
私は家康にも三成くんにも申し訳なくなり、
顔を俯かせた。
そんな私の姿を見た家康は
「はあ…どんくさいにもほどがあるでしょ。」
そう冷たく言い放つ。
(返す言葉が見つかりません…)
「…まあ、あいつが作ったやつなんてどうでもいいけど。」
「地図がないのは困る」
(…相変わらず三成くんには手厳しいな)
思わず私は苦笑を漏らす。