第1章 【 君への贈り物 】
「ふーん。
…まあ、詳しく聞きたいのは山々だけど」
次の瞬間、ふわりと体が浮いた。
「きゃあっ…い、いえやすっ?!」
条件反射のように私は家康の首に手を回した。
家康の顔を窺うと子どもの様にあどけない顔をしながら愉しそうに微笑んでいた。
「楽しみは明日に取っておく」
そう囁かれ、私は耳の付け根まで真っ赤に染まり、言葉を失ったまま体が固まる。
横抱きにされたまま、褥へと運ばれゆっくりと寝かされる。
「俺はまだ少しすることあるから、先に休んでて」
家康は私の瞼に口づけを落とし
「おやすみ」
といって部屋へと戻った。
家康の後姿に
「おやすみなさい」
とだけ告げて、私は眠りについたのだった。