第2章 おめでとうをあなたに…
その日の夜。
相変わらず緊張しながら
光秀さんと同じ褥に入る。
最近肌寒くなってきたし、…なにより光秀さんの温もりを感じることができて幸せなんだけど、やっぱりまだ慣れない。
まあでも、ここ数日は忙しくて同じ時間に褥に入っても先に光秀さんが眠りについてしまっているのが現実なんだけどね。
…今日も疲れているっぽいけど、今日だけは寝てしまう前に光秀さんに聞かなきゃっ!!
「…光秀さん、ちょっといいですか?」
「なんだ、杏。珍しいな、…相手、してほしいのか?」
にやりと光秀さんは妖しく笑う。
「ちがっ…!そうじゃなくて…。
あの、…実は光秀さんの誕生日が知りたいんです」
「俺の誕生日…?」
光秀さんは少し眉をひそめる。
「…はい、秋というのは聞いたことがあったのですが…その、せっかく恋人になれたのでちゃんとした誕生日を知りたくて…」
光秀さんは意表を突かれたように
一瞬だけ両眉を上げ、わずかに目を見開く。
そして妙に色気漂う雰囲気を醸し出しながら、優しく微笑んだ。
「いいだろう。愛らしい杏の願いだ。教えてやろう、俺の誕生日は…―――」
近くで聞く低く艶を帯びた声にドキドキと心臓を鳴らしながら、ごくりと息を飲み、言葉の続きを待つ。
そして光秀さんはニヤリと笑った後、口を開き
「今日だ」
飄々とした顔で私に告げる。