第1章 【 君への贈り物 】
『貴様がどこにいようが俺のお気に入りということに変わりはない。いつまでも笑っていろ。そして俺に幸運を運べ。 ―― 信長』
信長様は…なんでもお見通しだな。
まだ家康のお城、駿府城に行くことを伝えていなかった。
でも、それを察して信長様らしい言葉で背中を押してもらえてすごく嬉しい。
信長様、ありがとうございます。
そう心でお礼を言っていた時
「はあ…ほんと、あんた人に好かれすぎ。こっちの身にもなってほしい」
ぼそっと何か家康がいったけど、私の耳には届かなくて
「なんて言ったの?」
首を傾げながら聞くも
「別に、何も言ってない」
そっけなく言われた。
(うーん、多分これは何回聞いても教えてくれないやつだな)
私はこれ以上聞くことを諦めた。
そういえば…
「家康はなんて書いてくれてるの?」
私が聞いた瞬間
家康はパッとランタンを空へ飛ばしてしまった
「あっ!!」
私は拗ねるように家康の顔を睨みつける。