第1章 【 君への贈り物 】
『杏へ』
『今度寂しそうな顔してたら、俺がかっさらいに行く。覚悟しとけよ? ―― 政宗』
(うっそんなに寂しい顔ばればれだったんだ…気を付けよう。にしても…)
「こんな時まで冗談言うなんて…。ねえ?…いえやす?」
目を向けると、黙ったまま顔を歪ませ真剣な面持ちをする家康がいた。
( 家康…… )
思わず私は『大丈夫だよ』と伝えるように、ぎゅっと家康の袖を握る。
はっと我に返った家康は『なんでもない』とだけ告げ、目を細めながら小川を見つめた。
私も『うん』とだけ伝え、深入りはせず、次のメッセージに目を向けた。
『いつでもおいで。
…意地悪されたければな。 ―― 光秀』
『杏、おめでとう。何か困ったことがあれば俺を頼れよ? ―― 秀吉』
光秀さんと秀吉さんは相変わらずだな…
変わらない2人に心が和む。
(秀吉さんと来たら、次は三成くんかな?)
心を和ませたまま私は次のメッセージに目を向けた。
その瞬間、思わずクスクス笑ってしまう。