第1章 【 君への贈り物 】
急いで表に戻ると、必死に私を探す家康の姿が目に飛び込んできた。
必死で探してくれていることがとても嬉しくて思わず頬がほころぶ。
(…こんな気持ちバレたら怒られるだろうな)
私はにやける顔を引き締め、
「家康っ」
愛しい人の名を呼んだ。
するとすぐさま家康は私の方に目を向け、私の元に駆け寄る。
額に汗を滲ませながら…
険しい顔をした家康が私の目の前に立ち
「…ちゃんと大人しくしてなって言わなかった?」
「言いつけ破って、どこ行ってたわけ?」
問い詰める。
いつもの声に
心配とわずかな怒りが含まれていて…
どれだけ心配していたかがヒシヒシと伝わり
胸が締め付けられた。
(家康、ごめん。突然いなくなったんだもん、怒られて当然だ…。でも、光秀さんたちに口止めされているから言えないし…)
「…ごめんなさい」
これ以上言えない私は、謝ることしかできなかった。