第1章 決意
彼に背中を押されるがまま、廊下を何度か曲がって、リビングらしきところに着く。地図をもらわないと迷子になっちゃいそう……。
「あ、まーたんじゃん!」
リビングにある、茶色掛かった秋の葉みたいな赤い大きなソファーに男の子がふたり座っていた。そしてそのふたりがわたし達に気付き、振り向く。
顔がそっくり……。
そういえば、パパ、双子がいる、とかなんとか言ってた気がする。
本当に似てる……。
でも、雰囲気は全く違う。
わたし達に気付いて、満面の笑みを浮かべ、ソファーの上に膝立ちした少年に打って変わって、隣に座る少年はわたしと目が合うと、少し目線を宙に漂わせてから俯いてしまった。
顔も確かにそっくりだけど、髪型も違う。
元気な方の彼は、少し深い茶髪に染めた髪で、前髪を上に上げ、ピンで止めている。そして、大人しい方の彼は、黒い髪で、前髪を左に寄せて右の横髪をピンで止めている。
じーっと、彼らの違いを他にもないかな、と探していると、元気な方の彼と目が合った。
「あれ?まーたんのカノジョ?」
か、彼女……?
いきなり、なんてことを……!
「いやいや、違うって~」
まーたん、とか言われてたっけ?
まーたん、だから……まこ、とか?
「あ、誠。帰ってきてたのか」
リビングのドアが開き、スーツを着た男性が中に入ってきた。
まことか!
おしい……!