第1章 決意
スーツが良く似合う男性。
彼は多分、もう成人してるっぽいかな。
黒髪で、さらさらヘア。
「キミが詩乃ちゃんかな?」
しかも、超爽やか!
『は、はい……』
わたしが答えると、彼がにこ、と爽やかに笑う。
「俺は真(しん)。この、佐野家の長男なんだ。よろしくね」
『よ、よろしくお願いします!』
勢い任せに礼をして、頭を上げると、真さんがわたしの頭にぽんぽん、と手を置いた。
「よしよし、えらいね」
『え、ちょっ……あの……』
わたし、もう18なんですけど……。
挨拶をして褒められるような歳じゃない……気がする。ていうか、恥ずかしすぎる!
どうして、こんなに子供扱い!?
「真にいの悪いくせだよ」
「え?なにが?」
「すぐにそうやって子供扱いするー。しかも、無自覚ってのがおそろしーね!」
「あ……、ごめんね。嫌だったよね」
『いえ、あの……嫌、とかそういうんじゃないんです……。ただ、慣れてなくて……』
パパ以外の人に頭を撫でられたことなんてなかったから、ちょっと嬉しい。
確かに恥ずかしいけど、それよりも嬉しいの方が強い。