第2章 人形
いつも通りのことすぎて、思わず笑みがこぼれる。
『先に行ってるから、早く降りてきてね』
そう言い残し、部屋から出ようとすると、律くんがどこか眠たげな声で「なあなあ」と声をかけた。
「お前さ、なんか変わってね?」
何気ないその一言に動揺が走るのがわかった。
『そ、そう……?』
「つーか、変わりすぎだろ」
『……変、かな?前のがよかった……?』
声が震えているという実感はある。
でも、抑えられない。
怖い。
律くんの返事を待つこの時間が、長い。
「んー、俺は今のがいいと思うけど」
『っ……、そっか……。うん、よかった』
思わず小さな声が漏れる。
「みんなもそうも思ってるんじゃね?」
『………早く降りてきてね』
「ん?あ、おう」
そっと部屋から出て、扉を閉める。
『はやく、朝ごはんの準備しなきゃ』