第1章 決意
『あの、どなたですか?』
彼がさっきまで浮かべていた笑みを更に深め、これぞ、満面の笑み!っていう笑顔を浮かべてわたしの両肩を掴んだ。
「オレは、誠(まこと)!今日からキミのお兄ちゃんになる人だよ!」
『えっ!?』
よろしくねー、とわたしの肩を強く揺らす。わたしは頭ごとぐらぐらと揺らされながらひたすら動揺を隠していた。
この人がお兄ちゃん……!?
チャラい人がお兄さんだった場合、なんてパパに教えて貰ってない……。
「だったら送ってく!ほら、着いてきて」
彼がわたしの肩から手を離し、背後に回って背中を押す。わたしはもう、されるがまま。
だって、どう接したらいいのか分からない。
パパと孤児院のみんな以外の人と、どうやって話したら家族っぽくなるのか、なんて分からない。しかも、今日からパパ以外の人と一緒に暮らす。家族として。
うまくやっていけるかな……。