第1章 決意
四人兄弟か……。
ん?
いや、違う。
確か、五人兄弟だったはず。
「ただいま」
声のした方を振り向くと、そこには制服を着た男の子が立っていた。
「遅いぞ、ライライ」
「律……。いい加減、その呼び方をやめろ」
「いいじゃんかー」
現れたのは眼鏡をかけた同い年くらいの少年。制服をきちんと着こなし、一切の乱れがない。
潔癖症?それとも、真面目?
まあ、いいことだよね。
ふむふむ、と感心していると、彼と目が合った。
「あ……お前……」
『……?』
「い、いや……何でもない」
そう言うと、彼がそっぽを向いてしまった。
…………?
どうしたのかな……。
「ほら、挨拶して」
彼が部屋に戻ろうとするのを真さんが止め、自己紹介を促す。
「三男の来(らい)。よろしく」
『星宮 詩乃です。今日からお世話になります』
わたしの自己紹介を最後まで聞かずに、リビングを出ていってしまった。
「ごめんね?あいつ、いつもあんなだからさー」
誠さんが来さんの出て行った方に、べー、と舌を出す。
嫌われちゃったかな……。