第19章 能ある鷹は爪を隠す
「終わってる。
ほら、お前の机の上」
欠伸を噛み殺しながら気怠げに言う星夜さん。
「え?終わったの!?」
その言葉に驚く。
だってあれだけあった書類をたった30分で終わらせるなんて...!
バッとソファーから起き上がり、烈さんよりも先に書類を手に取る。
「本当.....終わってる...」
パラパラと書類を見てるけど、全て終わっていた。
少し雑な字だけど、間違いなんて見た限りなくて...。
「凄い...」
思わず声を漏らしてしまった。
「当然だろ、俺を誰だと思ってんだ」
ニヤリと星夜さんが自慢気に笑う。
「星夜がやったの?書類」
「あぁ」
「珍しいね、普段は絶対やらないのに」
そう言って烈さんも書類に目を通す。
「気まぐれだ、多分もうやらねェよ。
それより美織、こっちに来い」
「へ?なんで?」
「寝たりねェ」
「1人で寝てください!」
「お前抱いてた方が寝れんだよ。
それともあれか?
お前は1人で書類を頑張った生徒会長を労うっつー優しい気持ちはねェのか?」
「うぅ...」
そう言われてしまっては、反抗出来ない。