第19章 能ある鷹は爪を隠す
「安心しろ、手は出さねェから。
最もお前が、烈の前で犯されてェなら話は別だがな」
「結構です!」
「.....完敗だよ、星夜」
「へ?」
烈さんが口を開いた。
「僕じゃお前に敵わない。
だから譲ってあげる。
身を引くよ。
でも泣かすようなことがあったら、その時は全力で奪うからね」
「やれるもんならやってみろ。
俺は絶対ェ泣かさねーし、手放さねェ」
「ふっ...そう。
じゃあ僕はこの書類を届けて来るよ。
それともう帰るから、2人も遅くならない内に帰ると良いよ」
「あぁ、じゃあな」
「さようなら!
書類お願いします、烈さん」
烈さんが星夜さんの何に対して完敗なのか、何を譲るのかは分からないけど、でも2人の笑顔が関係が崩れないのなら良い。
「星夜さん」
ソファーに近づき、星夜さんの腕の中に戻ると言った。
「好きですよ」
「っ.....クソ、反則だ」
ガシガシと乱暴に頭を撫でられ、前が見えない。
「見んじゃねー.....。
きっと今、顔赤ェから」
余裕のなさそうな声にクスリと笑う。
本当、幸せだなぁ...と。
「バーカ。
俺は愛してんぞ、美織」
おわり。