第15章 教えてあげましょうか
「良いですよ」
「本当ですか?
ありがとうございます」
「美織…さん」
「はい」
「右手貸してください」
「どうぞ」
訳が分からず、首を傾げながらも言われた通り右手を差し出す。
「ありがとうございます」
そう言うと、烈さんは躊躇いもなく指を口に含んだ。
「え?んっ…」
暖かいものに包まれた指先。
舌先で指を舐められ、身体が跳ねる。
「っ、烈さん…?」
「消毒ですよ、彼に触れられたところのね」
「彼?
あの先輩のことですか?」
「そう。
手を、繋いでいるところを偶然見てしまって」
舐められたかと思うと軽く歯を立てられる。
そして何より、烈さんが私の指を咥えているという絵が…視覚的に悪い。
気にしないようにしていても欲情してしまいそうになる。
「消毒終わり」
最後に手の甲にキスを落とした烈さんと目が合った。
「ん?どうしたんです?」
分かっている癖に…!
烈さんはたまに星夜さんよりも意地悪になる。