第15章 教えてあげましょうか
「烈さんって、たまに凄く意地悪ですよね」
プクッと膨れる。
「それは仕方ないね。
好きな人程イジメたい、っていうことですから」
ニコやかに微笑んで告げた。
「えっ…?」
「あれ、伝わりませんでした?
僕は美織さんのことが好きだと言ったんです」
今度は笑っていない、真剣な表情。
頬や耳には赤みが差している。
「え?あの…」
「こんなこと、生まれて初めて言いましたよ…。
凄く、照れる…」
恥ずかしさで潤んだ瞳を隠す為か、私の首筋に顔を埋める。
ぎゅっ、と腕の力が更に強まった。
「美織さん…良ければ僕と……付き合って貰えませんか…?」
「へ?」
「美織さんのことが堪らなく好きなんです。
星夜に…取られたくない」
「烈さん…」
私も烈さんのこと好きです。
なんて言葉は紡げなかった。
好きな筈なのに、好きな人なのに、浮かんで来るのは意地悪く微笑んだ星夜さんの顔。
なんで…?
私は誰のことが好きなの…?