第15章 教えてあげましょうか
「ところで、キミは櫻井になんの用事なの?」
「え?」
「手紙でも、部活でもなく、教室に会いに来るってことはよっぽどあいつのこと好きなんだ?」
「へ⁉︎な、なんで⁉︎」
「いーよ、別に。
櫻井のこと呼ぶ女の子はほとんど告白だから。
隠さなくても」
「そういう訳じゃないんです、先輩。
実は…」
「お待たせしました」
理由を話そうとしたら、タイミング良く烈さんが現れた。
「あ、烈さん」
「月本さんだったんですか…。
可愛い1年生の方が見えてる、と言われたのでてっきり知らない人かと…すみません」
「あ、いえ!
こちらこそ、急に来てしまってごめんなさい!」
申し訳なさそうに眉根を寄せる烈さんの視線が一瞬、下を向いた。
そして眉間にシワが寄る。
「烈さん…?」
「いえ、なんでもないです」
「じゃあぼくはお邪魔かな?
ごゆっくり!」
「あ、先輩!
案内してくださって、ありがとうございました!
あと決してそんなんじゃないですからね?」
背を向ける先輩に声を掛けた。