第15章 教えてあげましょうか
とある教室の前で脚を止めた。
そして入口に立つと、中に居る人に声を掛けた。
「おーい、櫻井呼んでー。
女の子が来てる」
「ちょ、先輩、それじゃ誤解されますよ…!」
先輩が中に声を掛けたが、賑やかなのか聞こえている人と聞こえて居ない人が居るようだ。
「どうしたの?
なんか言ったっけ?」
廊下側に座っていた女の人が声を掛けてくれた。
「あー、ごめん。
櫻井居る?」
「烈くん?」
「そーそー。
女の子が会いに来てるんだよね、1年生の」
そう言ってこちらを見る。
「あ、えと…」
「ふーん?
可愛いコだね、呼んで来ようか?」
私よりも背が高いその先輩は、綺麗な黒髪を耳にかけ、私の顔を覗き込んだ。
「お、お願いしても良いですか…?」
「良いわよ。
ちょっと待っててね」
ニコッと微笑むと、奥へと進んで行った。
「彼女は図書委員なんだ。
優しくて、色々なことに気づいてくれる」
「へぇ、そうなんですか」