第15章 教えてあげましょうか
「時間?
それなら大丈夫だよ。
案内するだけだしね」
この人…良い人だ…!
「ありがとうございます!」
それまでの不安感から解放され、笑顔になる。
「ちょっとちょっと、気が早いって!
まだどこに案内するのかも聞いてないのに。
期待させといて分からなかったら、悲しいでしょ?」
と、苦笑した先輩。
「あ、それもそうですね…」
自分の早とちりが、恥ずかしい。
「可愛いなぁ」
と、髪を撫でられる。
びっくりして思わずピクリと身体が強張る。
「それで?
どこに行きたいの?」
「あ、3年生の烈さんのところに…」
「烈?」
「はい。
知ってますか…?」
「烈って、櫻井烈?」
「そうです!」
「知ってるよ。
同じクラスだよ。
案内するよ、こっち」
そう言って先輩は手を引く。
「え?あの、手…?」
「はぐれないようにだよ」
「あ、ありがとうございます」