第14章 プールサイドは走っちゃいけません!
単純だな、と笑う星夜さんの手をグイっと引っ張った。
「っ、おい!」
一瞬焦ったような声が聞こえたが、それはすぐに水しぶきに変わった。
大きく上がった水しぶきが自分にもかかる。
「てめェ……」
水面から顔を出した星夜さんは鬼のような形相をしていた。
「良い度胸してんじゃん。
なぁ…良くやってくれたよな?」
「だって星夜さんが先にしたじゃん…」
「それはそれ、これはこれ。
お仕置きされたい?」
「ごめんなさい…」
「…あー、もう…。
怒ってねェから、んな顔すんなよ。
ほら、遊ぶんだろ?」
「うん!」
美織の悲しそうな表情を見ると、何も言えなくなる星夜。
「浮き輪要るか?」
「なくても泳げます!」
「ほぉ、どのぐらい?」
「じゅ、10メートルくらいなら…」
「それじゃ泳げるっていわねェし、いざって時困るだろ」
「だって…」
「来い」
「え?」
「俺が泳ぎ教えてやる」