第14章 プールサイドは走っちゃいけません!
「そんな落ち込むな。
遊ぶぞ」
「はい!」
「それと美織」
「はい?」
「俺に対して敬語はヤメロ」
「なんでです?」
「距離があるだろ、嫌だ」
「…分かりました」
「あ?」
「わ、分かった」
「美織」
「はーい?
え?きゃっ⁉︎」
スッとお姫様抱っこをされる。
「え?え?ちょ、星夜さん⁉︎」
「ほら」
「は?え⁉︎」
身体を支えているものがなくなり、身体が宙に浮く。
驚き、自分の置かれた状況を理解する間も無く身体が重力に従って降下した。
バシャン、と大きな水しぶきが静かなプールに広がる。
目の前にあるのはプールの壁。
水に落ちた身体は下まで沈み、ゆっくりと浮上する。
「ぷはっっ…‼︎」
そう、プールの中に放り込まれたのだ。
「星夜さん‼︎
酷いですよ!いきなり落とすなんて!」
「ふはっ…くくっ…」
怒っているにも関わらずお腹を抱えて笑う。
その笑顔を見ると少しだけ怒りが消える気がする。