第14章 プールサイドは走っちゃいけません!
「おい、そんなはしゃぐな。
転ぶぞ」
「大丈夫ですってばー」
久しぶりの、しかも先取りで貸し切りのプール。
これがテンションが上がらずに居られますか!
早くプールに入りたくてプールサイドを駆け足で通る。
「わきゃ…⁉︎」
お約束というべきか、脚がもつれて前のめりになる。
「っ、おい!」
「はれ…?
痛くない」
転ぶのは覚悟していた筈なのに、痛みは一向にやって来なかった。
代わりにあるのは、何かに包まれる暖かい感覚。
「ったく、ドジ」
「ご、ごめんなさい」
星夜さんに後ろから抱きとめられていた。
そのお陰で転倒はしなかったらしい。
「俺注意したよな?」
「ハイ……」
「はぁ…ほんと、お前は。
怪我ねェか?」
「あ、大丈夫…です」
「もう2度とその肌に傷を作んじゃねェぞ?
俺の前なんて、以ての外だからな」
「気をつけます……」
真剣な剣幕の星夜さんに、本当に申し訳ないことをしたと落ち込む。