第4章 はじめての気持ちとありがとう
「そっちの方が俺としてもありがたいぜぇ。」
『え、なんで?』
「てめぇがはぐれた時にすぐ見つけられるからなぁ!」
『私そんなバカじゃないよ。』
「どうだか…」
スクがため息をついたので何か言い返してやろうと思った。しかし私は細い路地を抜けた光景に目を奪われた。
『わぁ…ほんとだ…
こっちの方が水路もあって綺麗だね…!!』
「だろぉ?俺もこっちの方が好きだな…10年後のもな…」
2人でゆったりと歩いた。
『ねぇ、前から思ってたんだけど…スクって10年後の私の事は名前で呼ぶのに私の事はガキとかてめぇとかお前としか呼ばないよね。』
「あぁ?んなことねぇだろ。」
『あるよ!名前呼んだのさっきはじめてだったもん!』
スクは少し考える仕草をした。
「……確かにそうかもなぁ…」
『ほらぁ!私嫌われてるのかと思ったんだよ!?』
「わ、悪かった!そんなつもりはなかったんだが…」
『まったく…』
(でも嫌われてるんじゃなくてよかった…)
「…たぶん、この世界のとお前を一緒の人間と考えていいのかわからなかったんだぁ…」
『…そう言ってるうちにもう私のことお前って言ってるんだけど?』
「あぁ"?……ほんとだ…」
『もー…でもまぁしょうがないよ。うん。』
過去の私だって言っても、違う人って思っちゃうのはわかる。
『スクと10年後の私は仲良かったの?』
「あぁ?…まぁ、な…」
『へー…だからじゃない?なおさら抵抗が出ちゃったんだよ。』
「かもなぁ…」
少し苦い表情をしたスクがそう言った。