第4章 はじめての気持ちとありがとう
『お、お待たせしました…』
「行く前からへばってどうすんだよ…」
スクアーロさんを待たせたらダメだろうと思って簡単な服にしてしまった。白のスキニーに黒いシャツ。一応金のイヤリングとブレスレットはしてきた。
「あ、ちょっと待て…」
バツが悪そうな顔をして、スクアーロさんは絆創膏を取り出した。
「顔、上げろ…」
言われたまま顔を上げると彼の手が首筋に触れた。
「おし、これで大丈夫だ…」
『…なんで絆創膏?』
「あー?いや、首に…ほら…」
(首…?)
『あ、そっか…赤くなってるとこですね。』
「おう…」
『ありがとうございます。でも痛くも痒くもないんで大丈夫ですよ!』
「………そうかぁ…
なら行くぞ…」
『え、はーい。』
…………
『リムジンで向かうんですか?』
「あぁ…街まで遠いからなぁ。」
『確かに…』
ヴァリアーのアジトの周りには何も無い。
「ま、せっかくの休みだからなぁ…羽を伸ばすのも必要だろう?」
スクアーロさんが優しく微笑んだ。
(それでわざわざ…)
『はい、ありがとうございます!』
「おう。あー…あとよ…」
彼が目をそらし、手袋をしてる手で頬をかいた。
「この世界のお前は俺のこと“スク”って呼んでたんだぁ…今更だが、少し違和感があってなぁ…」
『…そうやって呼べばいいんですか?』
「あぁ。敬語もやめにしろ…俺は気にしねぇ。」
『わ、わかった…けど私が慣れないかもしれないから、しばらくは大目に見てくださいね?あ…』
「ははっ!わかってる。
まぁ、これからよろしくな、。」
笑いながらスクアーロさんは私の頭をなでた。
『うん…!よろしくね!スク!!』
君と1歩、近づいた。