第7章 甘い時間 ★
翌日、レナは再びサンジと街を歩いていた。
昼過ぎに船を出て、レナの冬服など必要なものを買いそろえたところだった。
「他に行きたいところはないの?」
「うん、もう要るものは全部買ったから…サンジは?」
「俺も…欲しいものはないかな。ちょっとお茶でもしない?」
サンジがそう言ってくれたので、近くにあったカフェに入り飲み物を注文した。
「今日も楽しかったな。荷物、重いでしょ?持ってくれてありがとう」
「荷物は男が持つものさ、気にしないで」
運ばれてきた紅茶を飲んでいると、サンジが妙にそわそわしだした。
どうしたんだろう、と思っていると、サンジが口を開いた。
「レナちゃん、最後の夜なんだけど…二人でどこかに泊まらない?」
ナミの言った通り、サンジがレナを誘った。
最後の夜までまだ時間があると思っていたので、サンジと一夜を共にする決心は、まだついていなかった。
レナがどう答えようか迷っていると…
「しっ下心があるわけじゃねぇから!ただ、その日は夕食も作らなくていいし、レナちゃんと夜までデートできたら楽しいかなって思って…」
サンジは言い訳をするようにそう言った。
(下心がないってことは…一緒に泊まるだけってことだよね…?それなら色々心配しなくて大丈夫だよね…?)
「うん、一緒に泊まろうよ。ずっと二人で過ごせるの、嬉しい」
恋愛経験の少ないレナは、知らなかった。
一夜を共にするのに、下心がない男などいないということを。
そしてサンジも例に漏れず、下心があるということを。