第7章 甘い時間 ★
今日の不寝番はレナ。
夕食を済ませ、風呂にも入り展望台で本を読んで過ごしていた。
「レナちゃん」
サンジが温かい飲み物を持ってきてくれた。
冬島が近いのだろうか、ここ最近肌寒く、半袖では過ごせなくなっていた。
夜から朝にかけては特に冷える。
暖かい飲み物はありがたかった。
「ありがとう」
レナは飲み物を受け取った。
サンジはレナの隣に腰掛けた。
「あと3日で次の島に着くらしいよ。冬島だってさ」
「最近寒くなってきたもんね。私、冬島初めて!楽しみだな〜」
「島に着いたらさ…一緒に買い出し行って…デート…しようよ」
サンジが少し恥ずかしそうに、レナを誘った。
「うん…」
(デート…!!念願の…!)
レナも恥ずかしそうに答えたが、心の中では舞い上がっていた。
「賑やかな町だといいな」
サンジはそう言って、レナとの距離を詰めた。
「そうだね。サンジと出かけられるの、ほんとに嬉しい!大好きな人が私のこと好きって言ってくれて…毎日抱きしめてくれて…本当に、幸せ。ありがとう、サンジ」
「レナちゃん…」
二人は見つめあった。
そして…どちらからともなく、キスをした。
唇と唇が触れるだけのキスだった。
二人とも、唇の表面だけで互いの熱を感じ取った。
唇が離れたのは、しばらくしてからだった。
「サンジ…」
レナの目には涙が溜まっていた。
「キスが…こんなにも幸せな気持ちになるなんて…知らなかった…」
レナがしたことがあるのは、愛のないキスばかりだった。
いつだってされるがまま。
吐き気さえ覚えた。
けれどサンジとのキスは、体の芯からほぐれるような、温かくて、気持ちのよいキスだった。
「レナちゃん…俺もこんな気持ち…初めてだよ」
そう言ってサンジは再びレナに顔を近づけた。