第6章 結ばれた想い
「ねぇ、サン「レナちゃん」
遮るように、サンジがレナの名を呼んだ。
「もう明日からキッチンは俺一人で大丈夫だよ」
「え…それってどういう…」
「もう俺のことは手伝ってくれなくてもいいよ」
あまりにもさらりと言うので、レナはこの言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
「…どうして?」
「やっぱり俺一人で十分だからさ」
「…配膳とか片付けだけでも…手伝うよ」
すがるような思いで言葉を発した。
もともと調理補助ということで仲間に入れてもらった。
その仕事がなくなったからといって、ルフィは船を降ろしたりしないことはわかっている。
しかし、戦えない身としては何の役割もなく船に乗るのは辛い。
そして何よりサンジといる時間が減ってしまうのが一番辛かった。
「いいよいいよ、その方がレナちゃんもゆっくりできるだろ?」
「でも…どうして…?」
「…辛いんだよ、レナちゃんといるのが」
サンジは静かに声を荒げた。
レナは初めて見るサンジのその様子に、驚きを隠せなかった。
「一緒に料理したり、二人でお茶飲んだり…楽しかったさ。買い出しだって…一人浮かれてた。今思うとバカみてぇだな」
レナはサンジの言葉の真意がわからず戸惑っていたが、サンジは言葉を続ける。
「だけど…俺といてもレナちゃんが考えてるのは他の男の事…。それを知ってから…一緒にいるのが辛いんだ」
サンジはまっすぐにレナの目を見ていた。
それは悲しみのこもった目だった。
「…どういうこと…?」
「こんなに…っ…好きなのに…俺ばっかレナちゃんが好きで…辛いんだ…だからごめん…もう二人で何かするのは…無理だ…」
「サンジっ…「何も言うな!」
急に大きな声を上げられ、ビクっとなるレナ。
「ごめん…レナちゃんは悪くないんだ…ただしばらくは…一人でやらせてくれ」
最後に静かに呟き、サンジはキッチンを出て行った。