第5章 嫉妬
レナとゾロが船に戻ると、もう全員そろっていた。
「レナっっ!!」
ナミが駆け寄ってきた。
「みんな…心配かけてごめんなさい」
レナが謝る。
「レナ…おれが本を頼んだからこんなことになったんだよな…ごめんな」
「チョッパーのせいじゃないよ。チョッパーの役に立てて、私すごく嬉しいわ」
そう言ってレナはチョッパーに頼まれていた本を渡した。
「あったのか!ありがとう」
チョッパーは申し訳なさそうな、嬉しそうな顔で受け取った。
「無事で良かったわ!もうログも溜まったし、すぐに出港しましょ!」
ナミが出港の準備にかかろうとした。
「ちょっと待て、ナミ」
そう言ったのはルフィだった。
「レナ…いいのか?」
レナはルフィを見た。
ルフィが言わんとしていることはなんとなくわかった。
「ラグラン海賊団っていうのは…お前の親の仇だろ。それにお前を見つけたらまた連れて行こうと思うんじゃねぇのか?」
「……」
レナはルフィをまっすぐ見つめた。
「もしお前が望むなら…おれがぶっとばしてやる」
「ルフィ…ありがとう。でもね、両親のことは悲しいけど…もう大丈夫…それに私の代わりなんていくらでもいると思うから、見つかったとしても連れていかれたりしないよ」
半分は本当だ。
両親を殺されたことは本当にショックで悲しかったが、復讐をしても両親が戻ってくる訳ではない。
仇討ちをしたいとは思わなかった。
残りの半分は嘘だった。
もしあの男に見つかったら、連れ戻されるのではないかという不安はいつもある。
今まで女を取っかえ引っかえしていた男が2年もレナを捕らえていたのだ。
ルフィが倒してくれるなら…この先そのような心配をしなくても良くなる。
しかし、今あの海賊団と接触することで、レナが2年間何をしていたか知られるかもしれない。
それは絶対に嫌だった。
「わかった。お前がそう言うならいいんだ」
ルフィも納得してくれたようだ。
「それじゃあ…出航だ!!」
皆船長命令に従い、出港準備に取り掛かった。