第5章 嫉妬
「レナ!」
腕を掴んだのはゾロだった。
ゾロはレナの顔を確認したあと、正面から抱きしめた。
「えっ…ゾロ??どうしたの?」
レナは驚いて離れようとするがゾロの力には敵わない。
「無事でよかった……ラグラン海賊団の船を、ナミが見つけた」
ゾロの言葉を聞いた瞬間、レナの体が強張った。
「皆でお前を探してた。船に戻るぞ」
そう言って腕を緩め、二人の体は離れた。
レナの顔は真っ青だった。
ゾロは着ていたTシャツを脱いでレナに手渡した。
ゾロの鍛えられた上半身が露わになった。
「念のため頭から被っとけ」
レナは言われた通りTシャツを頭から被り、顔を隠すようにした。
ゾロは震えるレナの手を引き、急ぎ足で公園を出て船に向かった。
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サンジはレナを探しに、公園の奥へと進んでいた。
木が生い茂る道を進んでいくと人影が見えたので、足を早めた。
視界が開けて目に入って来たのは…黄色い花畑の真ん中で、ゾロとレナが抱き合う姿だった。
ドクン…ドクン…
サンジの心臓が早鐘を打つ。
(なるほどな…アイツとレナちゃんは……)
木の陰に隠れたサンジは、ごちゃごちゃと流れ込んでくる自分の感情に、頭がついていかなかった。
嫉妬、絶望、悔しさ…様々な感情がサンジを支配しようとしていたが、サンジは深呼吸して心を落ち着かせた。
(あの野郎…西を探すんじゃなかったのかよ…とにかくレナちゃんが無事だったんだ…皆を集めて出港の準備をしねぇと)
そう思ったサンジは、悔しさに歯を食いしばりながら静かに公園を後にした。