第5章 嫉妬
街外れの書店に入ったレナは、目的の本を探していた。
(えーっと…あ!あった!)
すぐに本は見つかり、会計を済ませる。
「お嬢さんは、旅の人かね?」
店主らしき初老の男性がレナに尋ねた。
「まぁ…そんなとこです」
「この近くに公園があるんだが…寄ってみなさい。この島にしか咲かない花があるから、摘んでいくといい」
「ありがとう。行ってみます」
レナは書店を出て周りを見回すと、公園らしきものが見えたので迷わず向かった。
(大きな公園だな…)
レナは広い公園に足を踏み入れた。
(見た感じ花はなさそうだけど…もう少し奥の方かな…)
レナは木が生い茂る方へと足を進める。
しばらく林の中を歩くと、急に視界が開けた。
(わぁ…綺麗……)
レナの目の前には、黄色の花畑が広がっていた。
あまり花には詳しくないが、とても変わった形をしているのでおそらくこれがこの島にしか咲かない花だろう。
(ダイニングに飾ったら…サンジ、喜んでくれるかな…)
レナが真っ先に頭に浮かんだのはサンジのことだった。
最近のサンジは少しおかしくて、レナに対してそっけなかったがレナがサンジを好きだという気持ちは変わらない。
(また一緒に…買い物行きたいな…)
今日は断られてしまったが、また次の島では行けるだろうか…期待より不安の方が大きかった。
レナは目の前の花を摘みながら、サンジのことで頭をいっぱいにしていた。
(日も落ちてきたし…そろそろ戻らなきゃ)
そう思って立ち上がった瞬間…
レナは知らないうちに後ろから来ていた人物に腕を掴まれた。