第5章 嫉妬
皆それぞれ散らばってレナを探し始めた。
サンジとゾロはひとまず同じ方向に走っていた。
「てめぇ…何で今日に限ってアイツと一緒に出かけてねぇんだ」
ゾロがそう言ってサンジを睨んだ。
「あァ?……それはこっちのセリフだ」
サンジも負けじと言い返す。
「何言ってやがる…」
ゾロは意味が分からず言い返そうとしたが、今はレナを見つけることが先決だ。
「俺は西の方を探す。てめぇは東へ行け」
分かれ道に差し掛かったところでゾロがそう言って二人は分かれた。
(北も分からねぇ奴が指図するんじゃねぇよ)
ゾロと分かれた直後、サンジは心の中で毒づいた。
通りの店も一軒一軒中まで入って確認した。
(クソッ…レナちゃん…無事でいてくれ…)
サンジはレナと一緒に買い出しに行かなかったことを後悔していた。
本当はずいぶん前から一緒に出かけることを心待ちにしていた。
レナがゾロを好きだと知るあの日までは。
今日断ったのは、レナは自分よりもゾロと一緒にいたいだろうと思ったからだった。
(それなのに一人で出かけやがって…あのクソマリモ)
イライラした気持ちのまま、ひたすら走って探し回った。
街の外れまで来たサンジは、大きな公園を見つけた。
ところどころに木が生い茂っており、一目で全体を見渡せない。
念のため奥まで確認しようと、公園に足を踏み入れた。
ーーー
ゾロはサンジと別れたあと、東か西かなど考えずにただがむしゃらに探し回っていた。
レナが2年間、あの海賊船で何をされていたかはゾロだけが知っている。
レナがあの男に捕まったらどうなるかわかっているのもゾロだけだ。
他の仲間の誰よりもレナの身を案じていた。
過去の話をしたときのレナの顔。
あんな顔は、二度とさせたくない。
そのときからゾロはレナのことが気になって仕方がなかった。
サンジが好きだと知ったとき、言いようのない悔しさと切なさを味わった。
しかしレナが幸せになれるなら、自分が身を引こうと思った。
(アイツもたぶんお前が好きだ…レナ…だからお前はこの船にいたら幸せになれるんだ)
街の外れの方まで来たゾロは、レナの姿を求め目の前にある大きな公園に入った。