第5章 嫉妬
ナミはショッピングをしながらこのあたりの海域の情報収集をしていた。
海のことを聞くなら漁師や船乗りにに聞くのが一番だと思い、自分たちの船がある港とは別の港に行ってみた。
港にはいくつかの船が停まっていた。
それらのうち、一番大きな船が目にとまった。
(大きな船ね…帆をたたんでいてわからないけど…海賊船かしら…)
遠くから観察していると、甲板に小さな旗が立てられていた。
(あれは…ラグラン海賊団って書いてある…どこかで聞いた気がするけど……)
どこで聞いたか目を瞑って思い出す。
(思い出したわ…!大変!早く知らせなくちゃ)
ナミは慌ててサウザンドサニー号へと走った。
太陽が大分傾いてきた頃、麦わらの一味はぞろぞろと船に戻り始めていた。
サンジは買い出した食料を片付け、ゾロは着くなり甲板でトレーニングを始めた。
他のクルーもそれぞれ自由に過ごしている。
「大変よ!!レナは!?」
ナミが慌ただしく船に入ってきた。
「レナならまだ戻ってないけど…どうしたんだ?ナミ」
ルフィが不思議そうにナミを見た。
ナミの声をきいて皆甲板に集まって来た。
「ハァ…ハァ…レナが前にいた…ラグラン海賊団…あの船が東の港にあったの!!!」
「何だって!!レナはどこだ!」
ルフィが大声できいた。
「おれ、レナに本を探してもらうように頼んだんだ…だから本屋に行ってくれてると思うんだけど……どうしよう、おれのせいだ」
「落ち着いて、チョッパー。レナを追って来たのか、それとも偶然なのかわからないけど、まだレナが連れて行かれると決まったわけじゃないわ。レナは雑用係だったって言ってたし…もしかすると代わりの人がたくさんいたかもしれない」
クルー全員が、確かにそうだ、と思った。
ただ一人、ゾロを除いて。
(なぜあの海賊がここにいるかはわからないが…アイツの話を聞く限り、代わりがいるとは思えねぇ。あの男がレナを見て素通りするはずがねぇ…)
「とにかく、手分けして探しましょう」
チョッパーを残し、皆船を出て街へと向かった。