第5章 嫉妬
レナが甲板に出ると、船番のチョッパーが本を読んでいた。
他のクルーは皆出かけたようだった。
「今日はチョッパーが見張りをしてくれてるんだね。必要なものとか、なかったの?」
「欲しい本があったんだけど…この島の本屋にあるかわからねぇし、また次の島で探すことにするよ!レナは出かけないのか?」
「出かけようと思ってたんだけど…まぁいろいろあってね。私が代わりに探してこよっか?チョッパーの欲しい本」
「えっ!いいのか!?」
「うん、ついでにちょっと散歩でもしてくるね。私が見張りを変わってあげられたらよかったんだけど…船を守れないからね」
「ありがとう!レナ!船はおれに任せとけ!!」
レナはチョッパーに本のタイトルをきき、船を降りて街へ繰り出した。
ーーー
この街は以前に上陸した街と同様、平和な街だった。
派手さや華やかさはないが、歴史を感じる活気のある街だった。
(本屋さん、どこかな)
レナはゆっくりと歩きながら探した。
途中、気になる店があれば入ってみたり、ショーウィンドウを眺めたりした。
「あ、あった」
しばらく探し回り、レナはようやく書店を見つけた。
そこそこ大きな店だったので、ここならありそうだと思い目的の本を探し始めた。
なかなか見つからず店員に聞いてみるが、チョッパーが求めているような専門的な本は置いていないとのことだった。
「あの、この街には他に本屋さんはありますか?」
「そうだねぇ…街の外れに小さな書店があるんだけど、あそこだったら君が探しているような医学の専門書を置いてるかもしれないね」
「ありがとう」
親切な店員に礼を言い、レナは書店を出た。
(街の外れか…ちょっと遠いけど、日没までまだ時間あるし行ってみよう)
レナは再び通りを歩いた。
戦闘ができないレナは、別のことで少しでも役に立てることが嬉しかった。
(チョッパーの喜ぶ顔が見たいな)
レナは先ほどと同じく、ゆっくりと店や景色を楽しみながら歩いていた。