第5章 嫉妬
サンジはキッチンで煙草を吸いながら、レナのことを考えていた。
(レナちゃん…俺のものにしたいのに…どうしたらいいかわからねぇ)
レナへの強い想いが募るばかりで、それを実らせる方法がわからなかった。
(本当に…ヘタレ野郎だな…)
ハァ、とため息をつき、キッチンを出ようと扉を開けたときーーーーレナとゾロが甲板で話をしているのが見えた。
思わずまた中に入り扉を閉めてしまった。
(レナちゃん…あの野郎と何を話してるんだ)
扉についている覗き窓から二人の方を見るサンジ。
少し距離は離れているものの、二人の姿はハッキリと見えた。
二人ともこちらに背を向けているので表情がわからない。
サンジが目を離さずに見ていると、レナが振り返ってキョロキョロとしている。
驚いて一瞬隠れたが、サンジには気づいていないようだ。
二人はこちら側を向いて話し始めたので、こちらからでも表情がよくわかった。
直後、サンジは目を見開いた。
(ーーレナちゃん…顔真っ赤…)
最近一緒にいる時間が長いが、レナのあんな顔を見るのは初めてだった。
それは、まるでーーー
(恋してる顔だ……)
レナは時折恥ずかしそうにしたり、慌てたり、目を丸くしてゾロを見たりしていた。
しばらく話をした後、ゾロはその場を離れて行った。
レナはゾロの背中を、照れたような顔で見つめていた。
サンジはくるりと体を反転させ、ドアに背中を向けもたれかかった。
ドクン…ドクン…
心臓が大きく跳ねる音がする。
(レナちゃんは…アイツのことが…)
サンジは想像以上にショックを受けていた。
レナはこの船にきてまだ1ヶ月半ほどしか経っていない。
だから好きなヤツなんていないだろうと高をくくっていた。
まさかゾロのことが好きだったとは。