第4章 二人の恋
サンジに手を引かれてやってきたのは、静かなビーチだった。
レナは初めて見る景色に目を奪われていた。
「レナちゃん」
サンジに呼ばれ、体を彼の方に向けるレナ。
サンジが深呼吸をしたのがわかる。
「さっきのヤツに…何もされなかった?」
「うん、大丈夫だよ。なかなか手を離してくれなくて焦ったけど…サンジがちょうど来てくれて、ほんとに良かった」
レナが安心した顔でそう言った。
「ありがとう、サンジ」
そう言われて、サンジもホッとしたような顔をした。
「…レナちゃんは可愛いんだから…気をつけないとな」
「えっ……うん…」
(今、かっ可愛いって…)
赤面したのを隠すように俯くレナ。
サンジはというと、レナからは涼しい顔をしているように見えるが、内心ではドキドキしていた。
(可愛いって…言っちまった……)
「ね、砂浜、すごく綺麗だね!私ビーチって初めてなの。住んでいたところは港しかなかったから」
話題を変えようと、レナがサンジに話しかけた。
「喜んでもらえてよかったよ。色々調べてたらさ、ここがけっこう良いみたいだったから」
「もしかして、わざわざ調べてくれたの?」
「いや、そ、そういうわけじゃないんだけど…たまたま耳に入ったんだ」
(本当は調べ尽くしたんだが…言えねぇ…)
「はは…そうだよね…。けど、連れてきてくれてありがとう」
(わざわざ私のために調べたりしないよね…デートじゃないんだから)
それでもレナはサンジがナミでもロビンでもなく、自分をここに連れて来てくれたことを嬉しく思った。
美しい景色を十分に堪能したあと、二人は船に戻った。