第4章 二人の恋
食事が終わりテーブルで会計を済ませ、サンジとレナは店を出た。
「この街の外れに綺麗なビーチがあるみたいなんだけど……あ、ごめん、さっきの店に財布忘れちまったみたいだ。取りに行ってくるからレナちゃんはここで待ってて」
少し歩いてから財布を忘れたことに気づいたサンジは、店の方へと走って行った。
レナはその場で止まり、すぐ傍にあった店のショーウィンドウを眺めていた。
「あのー、すみません」
聞きなれない声がし、振り返ると爽やかな青年が立っていた。
「ちょっと道をききたいんだけど…」
「ごめんなさい、私もここよく知らないの」
レナがそう告げると、青年は笑顔で返してきた。
「そうなんだ。じゃあさ、とりあえずお茶でもしようよ」
「えっ…いや、あの…」
(何これ、ナンパ??こういうとき、どうしたらいいんだっけ…)
「ここのことよく知らないなら、僕が案内してあげるよ」
そう言ってレナの腕を引っ張った。
「私、人待ってるんで!」
そう言って腕を振り払うレナ。
「お友達?じゃあその子も一緒に行こうよ。僕も友達呼ぶからさ」
そうして再びレナの手を取った。
「えっ…と、とにかく、離してください」
なかなか手を離してくれず、焦って泣きそうになっていたとき、後ろから別の手が伸びてきてレナの手を取り、男から引き離した。
「俺の女に…何か用か」
低い声でそう言ったのは、サンジだった。
サンジはレナの肩を抱き寄せた。
「……道をきいただけだよ」
青年はそう言ってそそくさと行ってしまった。