第4章 二人の恋
そろそろ昼食の時間だが、サンジはまだ眠ったまま。
(皆は外で食べてくるだろうし…サンジと二人きり。何か作ろうかな)
そう思ってレナはキッチンに立った。
サンジのように本格的な料理は作れないが、レナも一応料理人の娘。
基本的な家庭料理は一通りできる。
レナは母親がよく作ってくれた郷土料理を作った。
幸いにも材料はそろっている。
(おいしいって言ってくれるかな…)
レナは期待と不安を胸に、母のことを思い出しながら料理を進めた。
ーーー
目を覚ましたサンジは、ゆっくり体を起こした。
レナがキッチンで料理をしている。
「おはよう、サンジ。ちょうど今できたところなの。座って待ってて」
サンジはまだ状況が飲み込めなかったが、言われたとおりダイニングのテーブルについた。
「お待たせ」
そう言ってレナが順に料理をテーブルに並べる。
「これ…レナちゃんが作ってくれたの?」
「うん、お口に合うかわからないけど…私の故郷の料理なの」
サンジの向かいの席に座りながら答えるレナ。
「ありがとう、レナちゃん。…いただきます」
サンジは料理をスプーンですくい、ゆっくりと口に運んだ。
ドキドキしながらその動作を見つめるレナ。
「……うめぇ」
「ほんと!?よかった〜」
安心したレナは、自分も料理に手を付けた。
「いつもは俺が作るばっかだからさ、やっぱり誰かに作ってもらうのは格別だな。ほんとにおいしいよ、レナちゃん」
「サンジみたいに華やかな料理は作れないけど…こういう家庭料理だったら私でも作れるから、サンジが疲れてるときは私が作るからね」
「ありがとう、レナちゃん。この料理、今度教えてよ」
「…うん!私もね、サンジみたいな料理作ってみたいの…次からは配膳とかだけじゃなくて、料理の方も手伝っていい…?」
「もちろんさ、一緒に作ろう」
(…なんか…毎日デートの約束したみたい…。…違うんだけどね)
レナはサンジとの距離が少し近づいた気がして嬉しく思った。