第4章 二人の恋
どのくらいの間、レナは抱きしめられていただろうか。
身体を震わせ涙を流していたレナは、サンジの温もりを感じ徐々に落ち着きを取り戻していった。
冷静になっていくにつれ、サンジの腕の中にいるこの状況に恥ずかしさや申し訳なさを感じていた。
(あんな顔見せられたら…サンジもどうしていいかわからないよね……)
そう思う反面、レナの中には嬉しさもあった。
(サンジの身体…あったかい…もう少し甘えててもいいかな…)
「レナちゃん…もう落ち着いた…?」
そう言ってサンジは抱いていた腕を離し、レナの顔を見る。
「あっありがとう。変なところ見せちゃってごめんね」
(もう少しこのままでいたいなんて…バカなこと思っちゃった…)
「お茶でも飲もうか」
サンジは持ってきたお茶を出し、二人は並んで座った。
「ありがとう」
「レナちゃん…もしかして、この船で何か辛いことでもあった?」
サンジが心配そうにレナを見る。
「ううん…この船の皆は本当に優しくしてくれて…毎日とっても楽しいの。さっきはちょっと…昔のこと、思い出しちゃって…」
そう言って下を向くレナ。
「この船での生活を楽しんでくれてるならいいんだ。レナちゃんは大切な家族を海賊に奪われたんだ…そりゃあ思い出せば泣きたくもなるよな」
サンジはレナの頭を撫でた。
(それもそうだけど…本当のこと言えないのは悪いけど、あの船でのことは絶対に知られたくない…)
サンジの優しさはとても嬉しかったが、本当のことを言えない罪悪感も感じていた。
「サンジ…ありがとう。サンジが来てくれなかったら、私ダメだったかも…心配かけてごめんね」
レナは力なく笑った。