第4章 二人の恋
夕食の準備はいつも通り、滞りなく行われた。
レナはいつもより胸を踊らせながら、サンジの邪魔にならないよう手伝っていた。
「そろそろ皆を呼んでくるね」
出来上がった料理をテーブルに並べたレナは、そう言ってキッチンを出て行った。
見かけた順に声をかけ、夕食の準備ができたと告げる。
最後まで姿を見なかったのが…ゾロだった。
(ゾロはどこだろう…筋トレかな?)
確信はなかったが、よくゾロが筋トレをしている展望台へと向かった。
「ゾロ〜??」
展望台をのぞくと、ゾロがいつものようにダンベルを使ってトレーニングをしていた。
「ゾロ、ご飯だよ」
「あぁ…レナか。すぐ行く」
ゾロはそう言ってダンベルを床に置いた。
レナは近くに置いてあったタオルをゾロに渡す。
「悪りぃな」
汗を拭きながら、チラリとレナを見るゾロ。
「お前…何か良い事でもあったか?」
「えっっ!…どうして?」
唐突にきかれレナはたじろぐ。
「いや…なんとなくだ」
「別に…いつも通りだよ。そんなことよりご飯行こう、もう皆そろってるから!」
そう言ってレナは先に展望台を出た。
(確かに良い事はあったけど…顔に出てたのかな)
レナは少し恥ずかしい気持ちでキッチンに戻った。
ゾロはダンベルを片付け、展望台を出てキッチンへと向かっていた。
(アイツ…いつもと全然違う顔してやがる)
唯一レナの過去を知るゾロは、理由はわからなくてもレナが良い顔をしていることに喜んだ。