第4章 二人の恋
第四章 二人の恋
レナがキッチンに入ると、まだサンジは帰っていないようで、誰もいなかった。
レナは少しほっとした。
冷蔵庫を開けてみるが、ほとんど何もない。
サンジは買い物をして帰ってくるのだろうか。
(次からは買い出しも手伝った方がいいかな…けど…私が行っても邪魔だよね…)
レナはまた昼間のサンジと女性の姿を思い出し、胸がざわめく。
(サンジはあの人と……)
暗い気持ちになったとき、キッチンの扉が開いた。
入ってきたのはーーーサンジだった。
両手いっぱいに食材を抱えていた。
サンジと目が合い、一瞬だけ気まずい空気が流れた気がした。
「おかえりなさい」
平静を装い、笑顔を作ってレナは言った。
「ただいま、レナちゃん」
そう言ってサンジは笑った…ように見えた。
(今、笑ってくれた!?)
サンジの笑顔を見たことはあるが、それがレナに向けられたのは初めてだった。
そんな些細なことでも、サンジを好きだと自覚したレナにとってはとても嬉しいことだった。
「買い物に行ってくれたんだね。ありがとう」
「久しぶりの島だからな。買い込んどかねぇと」
買い出しについて、レナはダメもとでサンジにきいてみた。
「ねぇサンジ……買い出しなんだけど、次からは私も行ったらだめかな…?」
そう言うと、サンジが目を丸くしてレナを見た。
「いやっあのっ、一応私調理補助係だし、手伝った方がいいかなって!いらなかったらいいんだけど!」
焦って言い訳するように言葉を続けるレナ。
「助かるよ、ありがとう」
サンジから返ってきた答えは、意外なものだった。
「…いいの?だって…」
「ん??」
「ううん、何でもない。行くとき声かけてね」
まさかオーケーをもらえるとは思っていなかったレナは、ほころぶ顔を隠すようにサンジに背を向けた。