第3章 想い
船に戻ったナミとレナは、女部屋に向かった。
すでにフランキーがベッドを設置してくれていた。
「ようやく同じ部屋になれたわね」
ナミはそう言ったあと、シャワーを浴びると言って部屋を出て行った。
レナもとても嬉しく、フランキーに感謝した。
しかし、レナの心の中はそれどころではなかった。
あのカフェを出てから船に戻るまで、レナはナミと何を話したか覚えていなかった。
それほど、サンジのあの姿に衝撃を受けていた。
女性の腰にまわされたサンジの手が、女性に向けられたあの笑顔が、自分のものだったらいいのにと思ってしまう。
あの女性を羨ましいと思ってしまう。
いくら振り払ってもサンジのことばかり考えてしまう…
こんな気持ちは初めてだった。
レナはこの気持ちの正体を、うすうす感じていたーーー
(もしかして私…サンジのこと…)
高鳴る鼓動に耳を傾けながら自分の気持ちを確かめる。
(好きになっちゃった…のかな……)
レナにとって、これは初恋だった。
二十歳にして初めての恋だ。
(いつ好きになったんだろう)
レナはこの船に乗ってからのことを思い返していた。
(無愛想なあなたを初めて見たとき…初めてあなたの料理を食べたとき…?たぶん最初からずっとあなたのことが気になってたんだ)
自分の恋を自覚し、浮かれた気分になったのも束の間、レナはあることを思い出して落ち込んだ。
(そういえば私、サンジに女として見られてないんだった…)
ずーんと落ち込むレナ。
そしてもう一つの不安要素も。
(2年間もあんなことされ続けて…あんな生活を送っていて、まともな恋愛なんて私にできるの…?)
色んな思いが頭の中をぐるぐるまわっていた。
どうするべきかわからないまま、夕食の準備をする時間になったのでレナはキッチンに向かった。